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経済

2024年7月16日

シンガポールの法人所得税収入の73%が大企業からの貢献

 シンガポールは世界で4番目に多国籍企業(MNE)への依存度が高い経済であり、法人所得税収入の73%が大企業からのものであることが明らかになった。
 
 経済協力開発機構(OECD)の2024年版「法人税統計報告書」によると、2021年には年収7億5,000万ユーロ(約11億Sドル)以上の大企業が、シンガポールの法人所得税収入の大部分を占めまた。このデータは7月11日に発表された。
 
 最も依存度が高い国はアイルランドで、法人所得税収入の87%がMNEからのものであり、次いで香港(79%)、チリ(76%)となっている。
 
 シンガポールの法定法人所得税率は17%だが、経済成長とイノベーションを促進するための特定産業向けの税制優遇措置により、実効税率は低くなっている。
 
 報告書はまた、知的財産(IP)制度を通じた研究開発支援のための税率が5%であることを示している。この率は他の多くの地域と同様に低いが、OECDのグローバル最低税率制度により追加課税の対象となる可能性がある。
 
 2021年には約140ヵ国がOECDのグローバル税制合意に署名した。これにより、MNEの利益が低税率地域に移転されるのを防ぐことが目的である。第1の柱は、大企業の残余利益を本国から収益を上げる場所に再配分することを目指し、第2の柱は、MNEが15%の最低実効税率を支払うことを確保することを目指す。
 
 シンガポールもこれに対応して、2025年1月1日以降に始まる企業の財政年度から、MNEの海外子会社の利益に対して15%の最低実効税率を適用する「所得包含規則(IIR)」を導入する予定である。また、国内利益に対しても15%の「国内追加税(DTT)」を適用する計画という。
 
 シンガポールの税制は、資産の経済的減価償却に対して一定の加速減価償却を許可しており、これにより投資インセンティブが高まっている。OECDのデータは、グローバル税制改革が進む中、法人税率が安定化していることを示している。
 
 法人税率は過去3年間で平均21.1%と安定しており、新しいグローバル最低税率の導入により競争圧力が緩和されると期待されている。

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