AsiaX

シンガポールドル、政策見通しで10年ぶり高値付近まで上昇

 シンガポールドル(シンドル)は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に比べて、シンガポールの金融政策が相対的にタカ派的であるとの見方から、10年ぶりの高値に接近した。8月23日には、2014年以来の水準に達し、8月26日の早朝取引でも1USドルに対して約1.30Sドルで推移した。
 
 シンガポールドルは2024年に約1.5%上昇し、アジアではマレーシアのリンギットに次ぐ好成績を記録している。シンガポール金融管理局(MAS)は、インフレ抑制を目的として、7月の会合で通貨の上昇バイアスを維持した。さらに、8月23日には、FRBのパウエル議長が米国での金利引き下げが9月に行われる可能性を示唆した。
 
 シンガポール政府は7月に2024年の経済成長予測を引き上げ、外需の堅調さを理由に成長率を2%から3%に設定した。この経済成長が続けば、シンガポールドルのさらなる上昇を後押しする可能性がある。
 
 OCBC銀行の外為ストラテジスト、クリストファー・ウォン氏は、「パウエル議長のジャクソンホールでの発言により、ドル売りの流れが強まる可能性が高い」と指摘した。
 
 ただし、シンガポールドルがさらに上昇する余地は限られていると見られている。MASはシンガポールドルの名目実効為替レート(S$Neer)を政策バンド内で動かす方針を維持しており、ウォン氏は、シンガポールドルがこのバンドの強い側にあると予測している。このため、シンガポールドルの対USドルでの上昇は、他の通貨に比べて遅れる可能性があると述べてる。