10月8日、シンガポールの視覚障害者協会(SAVH)メンバーがガーデンズ・バイ・ザ・ベイで新しい「感覚ツアー」を体験した。このツアーは、視覚障害者が触覚を使って自然を感じられるよう特別に設計されており、スーパーツリーグローブやフラワードームを巡るという。
参加者のアリ・ダウド氏(60歳)は、初めて訪れたフラワードームでチリ産のワインヤシを抱きしめ、その巨大な幹の太さに驚いた。生まれつき目が見えないアリ氏は、「ヤシの木がこんなに大きいとは思わなかった。触ってみないとわからないものだ」と笑顔で語った。このヤシの木は高さ25m、幹の直径は約1mにも達した。
ツアーでは、視覚障害者が感じられる「2.5Dタクタイルガイドブック」を使用し、植物や建物の形状を触って体感できるよう工夫されている。通常の来場者は触れることができない植物にも手を触れ、より深い理解を得ることができるのが特徴という。また、ガイドが視覚的な風景を言葉で詳しく説明し、視覚障害者が心の中で植物や庭園のイメージを構築できるようサポートする。
このツアーは10月15日のホワイトケーンデーに合わせて120人の視覚障害者が参加予定で、その後は毎月最終土曜日に試験的に実施される予定という。
参加者の一人、リン・ロー氏(64歳)は、ツアーの詳細な説明に感銘を受け、「入口に二重扉があることなど、些細なことでも視覚障害者にとっては大きな意味がある」と感想を述べた。