2025年1月10日
食品安全と食料安全保障を強化する新法が成立、備蓄食料の種類拡大も可能に
シンガポール国会は2025年1月8日、「食品安全および食料安全保障法案」を可決した。この新法は、複雑化する農業食品供給チェーンや気候変動に対応し、食品安全基準を強化するとともに、食料安全保障を保護することを目的としている。
この法律により、食品安全に関する違反に対する罰則が強化された。消費者に健康被害を与える不安全な食品を提供した企業には、従来の罰金5,000Sドルまたは5万Sドルに対し、最大5万Sドルの罰金が科される。また、詐欺や複数回の食品安全違反で営業許可を取り消された違反者が、同種の新しい許可を3年間取得できない規定も盛り込まれた。
コー・ポー・クーン環境・労働担当国務相は、「農業食品供給チェーンは多くの関係者が絡み、故障の可能性が高まっている」と指摘。2022年から2024年にかけて発生した食中毒の43%は食品従業員の安全管理不足が原因であると説明した。2024年には、大規模な食中毒事件が保育園や企業で相次いで発生している。
この法律により、輸入業者や農場、屠殺場などの関係者にトレーサビリティのための記録保持が義務付けられ、汚染食品の迅速な回収が可能となる。また、主食の備蓄を通じて供給チェーンの混乱を防ぐ措置が拡大されるが、現時点では米以外への備蓄要件の適用予定はない。
さらに、農場は食品安全や持続可能性に関するリスクを減らす管理計画の提出が求められる。これには水質や堆積物の管理を含む海洋魚養殖場も含まれる。新法はまた、培養肉や昆虫食品といった革新的食品に対応し、安全性リスクの早期発見を図る。
この法案の施行は2028年まで段階的に進む予定で、まず2025年後半に新規定の適用が開始される見通しである。