2025年1月28日
無敵ドローンと登攀ロボット、海上警察の特殊装備デモで披露
シンガポール警察海上警備隊(PCG)の特殊任務部隊(STS)が1月22日、海上特殊作戦に使用する新型装備のデモンストレーションを行った。展示されたのは、水上飛行可能な「Diodon」ドローンと船体登攀用ロボット「Spyder」である。
デモンストレーションは、PCGのブランニー地域基地にて行われ、STSの潜水チームが任務を実演。設定は、武装海賊がシンガポール領海内の船を襲撃し、船長をエンジンルームで人質に取るという想定だった。潜水チームは、騒音を出さない再呼吸装置を装備し、海中から船に接近。海賊に気づかれることなく、船体に取り付けたカービングラダーを用いて上陸した。
この任務を支援したのが、フランス製の「Diodon」ドローンである。直径約2kgの小型ドローンで、海に沈まない設計が特徴。水面に裏返っても自力で体勢を整え、即座に飛行が可能である。Diodonは最大4kmの範囲で運用でき、リアルタイムの映像をSTS司令部に送信。現場の状況把握と迅速な意思決定を支援する。この技術は、デンマーク、イギリス、フランス、オランダの軍や海軍にも採用されている。
一方、「Spyder」はHTXのロボット技術チームが開発した登攀ロボットである。約35kgのロボットは磁気トラックを利用して船体を登り、上甲板の端にフック付きラダーを設置。以前は手動でフックを取り付ける必要があり、荒波の中での作業は困難を極めたが、Spyderの導入により大幅な効率化と安全性の向上が実現した。
デモンストレーションでは、STSチームが潜水から登攀までの任務を成功させ、海賊を制圧して人質を救出。PCGのリー・ティンウェイ運用・警備部長は、「新技術により、STSは複雑で危険な海上任務において戦術的優位性を得られる」と語った。