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経済

2025年2月6日

シンガポール企業、ジョホール・シンガポール経済特区を製造拠点として活用可能

シンガポール企業は、ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)を製造および加工拠点として活用しつつ、本社機能や研究開発をシンガポールに維持することが可能である。貿易産業省のアルビン・タン国務大臣が2月4日の国会で明らかにした。
 
タン大臣は、JS-SEZがシンガポールとジョホールの相互補完的な強みを活かし、競争力を強化しつつ良質な雇用を創出する狙いがあると説明した。1月のJS-SEZ合意締結時には、ローレンス・ウォン首相が、同特区が両国で2万人の熟練労働者の雇用を生み出し、5年間で50件、10年間で100件のプロジェクト拡張を支援するとの期待を示していた。
 
同特区の恩恵を受ける分野として、製造業、物流、デジタル経済が挙げられる。JS-SEZによる物流や人材のクロスボーダー流動の向上、事業環境の整備が期待される。タン大臣は、シンガポール企業の多くが既にジョホールとの連携事業を持ち、一部の業務をジョホールに置くことで資源を有効活用しながら、本社や研究機能をシンガポールに集中させることが可能であると指摘した。
 
韓国のSPCグループ(パリバゲットの親会社)は、シンガポールに地域本社とイノベーションセンターを構える一方、ジョホールに地域生産拠点を設置している。また、シンガポールの食品原料企業アグロコープは、日本企業と提携しジョホールに新工場を開設するなど、企業の関心は高まっている。
 
政府はJS-SEZへのシンガポール企業の投資を支援するため、市場準備支援助成金や企業融資制度を提供している。マレーシア政府も特区向けに特別法人税率(最大15年間5%)などの税制優遇措置を2025年1月1日から導入予定である。
 
シンガポールの投資流出リスクについての懸念に対し、タン大臣は、法の支配、規制の安定性、金融センターとしての強みは容易に再現できないと指摘。JS-SEZはシンガポールの競争力をさらに高める機会であり、適切に運用されれば新規企業や投資を引き寄せる要素になると述べた。
 
政府はJS-SEZの影響を継続的に監視し、シンガポールおよびマレーシアのビジネスリーダーと定期的に協議を行っている。さらなる詳細は今後発表される見込みである。

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