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経済

2025年2月7日

2024年に135億Sドルの固定資産投資を誘致

シンガポール経済開発庁(EDB)は2月6日、2024年の固定資産投資額が前年比6.3%増の135億Sドルに達したと発表した。ただし、2025年の投資環境は地政学的リスクや貿易摩擦の影響で厳しさが増すと予想される。
 
固定資産投資は企業が施設や設備に投じる資本の増加分を指し、特に電子産業が全体の57%を占めた。AIやデジタル化の進展により半導体分野の成長が期待されている。次いで、バイオ医薬品製造(16.5%)、本社・専門サービス(8.4%)が続いた。一方、化学産業は2023年の35.6%から2.7%へと大幅に減少した。EDBはその理由を世界的な供給過剰と説明している。
 
2024年に誘致されたプロジェクトは、今後5年間で約1万8,700の新規雇用を生む見込みで、前年から6.71%減少する。しかし、EDBのポー・ジャクリーン代表取締役は「この減少は小幅であり、中期目標は依然として達成されている」と述べた。新規雇用の46%はサービス業、37%は製造業、17%は研究開発・イノベーション分野で創出される予定であり、大半は専門職や管理職に分類される。また、新規雇用の約3分の2は月額5,000Sドル以上の給与が見込まれる。
 
米国の対中輸出規制がシンガポールの半導体投資に与える影響についてEDBは、シンガポール企業は米国の輸出管理規制を遵守するとの見解を示した。また、米国の貿易関税の影響について、ポー氏は「シンガポールは開放的な貿易依存型経済であり、世界的な保護貿易政策の拡大は投資環境に影響を与える」と指摘した。
 
一方、EDBはアジアの経済成長を追い風とし、シンガポールの投資競争力を維持する方針である。EDBの発表によると、アジア経済は現在の世界GDPの約50%から2030年までに60%へと拡大する見通しであり、東南アジアの経済統合が進むことでシンガポールの地域ハブとしての地位が強化されると期待される。
 
2024年の事業支出総額は84億Sドルに達し、その63.9%は本社・専門サービス部門によるものであった。米国、中国、欧州の企業がシンガポールを拠点として研究開発や事業運営を行い、同国のイノベーションハブとしての地位を強化している。
 
EDBのパン・チョン・ブーン会長は「シンガポールの経済多様化とレジリエンスの強化に寄与する投資を誘致し続ける」と述べ、AIやデジタル化、気候技術などの成長分野への注力を強調した。また、新たに設立されるジョホール・シンガポール特別経済区がさらなるビジネス機会を創出すると期待されている。

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