2025年2月12日
シンガポールのインフレ率、2024年に2.4%まで低下
シンガポールのインフレ率が2024年に再び低下し、2.4%となった。これは2022年の6.1%から大幅に下がったもので、要因として自動車や衣料品、一部の食品価格の下落が挙げられる。
統計庁(SingStat)によると、全ての所得層でインフレ率の低下が見られ、過去12カ月間で1.6〜3.0ポイント減少した。2024年の世帯所得別のインフレ率は、低所得層が2.7%、中所得層が2.5%、高所得層が2.1%となった。持ち家世帯の賃貸費用を除いた消費者物価指数(CPI)は、それぞれ2.6%、2.4%、2.0%だった。
2024年の主なインフレ要因は住宅費、食品、医療費、旅行費、公共交通機関の運賃だった。一方、自動車やバイク、航空運賃の価格下落がインフレ率を抑制した。特に高所得層は自動車の占める割合が大きいため、価格下落の恩恵をより受けた。
低所得層にとってはバスや鉄道運賃の値上げが負担となった。政府は低所得層を支援するため公共交通補助券を提供しているが、今後の原油価格やエネルギーコストの上昇リスクが指摘されている。
食品価格は依然として上昇傾向にあるが、2024年はそのペースが鈍化した。ホウレンソウやキャベツ、ジャガイモなどの価格が上昇した一方で、魚介類や冷蔵豚肉・鶏肉、卵の価格は下がった。レストランの価格上昇率は3.8%、ホーカーセンターでは4.4%だった。
また、衣料品や履物の価格は全所得層で下落し、Eコマースの普及による価格競争の影響が大きい。消費者は低価格の商品への切り替えや支出の見直しを行い、タクシー利用を減らすなどの節約行動が広がっている。
専門家は、インフレ率が今後も抑制される見通しであり、大幅な物価上昇のリスクは低いと分析している。