Cuscaden Peak、Paragon Reitを27.8億Sドルで買収へ

シンガポール取引所に上場する不動産投資信託（Reit）であるParagon Reitが、主要株主であるCuscaden Peak Investmentsから27.8億Sドル（約3,100億円）の買収提案を受けた。Cuscaden PeakはParagon Reitを非公開化し、上場廃止する計画である。
 
買収提案は2月11日に発表され、信託スキームの形で進められる。Paragon Reitはオーチャードロードの高級ショッピングモール「Paragon」のほか、「The Clementi Mall」とオーストラリア・南アフリカの「Westfield Marion Shopping Centre」を保有している。
 
Cuscaden Peakは、Paragonの競争力維持を目的とした大規模な改装計画を発表している。改装には3億〜6億Sドルが投じられ、外観や内装、設備のリニューアルが段階的に進められる予定だ。全面閉鎖を避けつつ、改装を進める方針である。
 
Cuscaden PeakのCEOであるジェラルド・ヨン氏は、高金利環境や市場不透明感により、投資家のReitへの関心が低下していることを指摘。Paragon Reitを上場維持しながらの大規模改装は、ユニットホルダーにとって不利益であると説明した。買収価格は1ユニットあたり98セントで、Paragon Reitの純資産価値を7.1％上回る。
 
ユニットホルダーの承認が必要となる本買収は、4月までに臨時総会（EGM）とスキーム会議を開催し、75％以上の賛成票を得る必要がある。Cuscaden Peakとその関連会社は、Paragon Reitの61.5％の株式を保有しているが、投票には参加しない。
 
Paragon Reitはここ数年で複数の資産を売却しており、2024年には「The Rail Mall」やオーストラリアの「Figtree Grove Shopping Centre」を売却。今後はParagonを中心に資産の強化が進められる。
 
改装は3〜4年かけて行われ、資産価値の10〜21％に相当する投資が行われる予定である。Paragonの競争力を高め、他のオーチャードロードの高級モールとの競争に備える狙いがある。