2025年2月25日
2024年度大学卒業生の就職状況、正社員率低下と給与上昇が顕在化
2024年度の大学卒業生に関する最新調査結果が公表された。調査によれば、正社員として就職した卒業生の割合は79.5%に留まり、前年の84.1%から減少している。一方、正社員就職者の中央値月収は4,317Sドルから4,500Sドルへと上昇し、給与面での改善が見られる。
新卒者の失業率は12.9%に達し、前年の10.4%を上回った。また、パートタイムや派遣、フリーランスなどの就業形態を選択する者も増加しており、該当者はそれぞれ6%および1.6%となった。これらは多くが自主的な選択によるものである。
本調査の対象は、シンガポール国立大学、南洋理工大学、シンガポール経営大学、SUTD、SUSSの全日制課程卒業生約1万2,500名であり、回答率は73.3%に達している。労働市場に参加した約1万1,100名のうち、卒業後6ヵ月以内に何らかの雇用を得た者の割合は87.1%で、前年の89.6%を下回った。
健康科学、経営、情報・デジタル技術の各分野では、正社員就職率が83~88%と高水準を維持しており、特に情報・デジタル技術分野の卒業生は月収5,600Sドルと最高水準を記録した。シンガポール経済は2024年度に4.4%成長したが、企業の再編やAI技術の進展、スキルのミスマッチなどの影響で、一部業界では正社員確保が難航している状況である。経済学者は、卒業生の給与上昇率がインフレ率を上回る点を評価しつつも、就職環境の変化には注意が必要であると指摘する。