2025年3月10日
シンガポール、外国人労働者制度を改定
シンガポール政府は2025年7月1日より、外国人労働者の就労期間に関する上限を撤廃する。これにより、企業は熟練労働者を長期間雇用できるようになり、シンガポールの労働市場に大きな影響を与えると見込まれる。現在、労働許可(ワークパーミット)保持者の就労期間は14~26年に制限されているが、この制限が撤廃される。ただし、家政労働者は対象外となる。
また、ワークパーミット保持者の最大雇用年齢は60歳から63歳に引き上げられ、これに伴い新規申請の年齢制限も61歳までとなる。これにより、企業は引き続き経験豊富な労働者を雇用できる。
2025年9月1日からは、サービス業や製造業における特定職種の外国人雇用を拡大する「非伝統的供給国(NTS)職業リスト」に、重量車両ドライバーや製造業のオペレーター、一般調理師が追加される。これにより、企業はマレーシア以外の国々からも幅広い労働力を確保できるようになる。
さらに、NTSの対象国として、2025年6月1日よりブータン、カンボジア、ラオスが追加される。これにより、シンガポール企業は多様で熟練した労働力を確保しやすくなる。
シンガポール人材開発省(MOM)は、企業の成長を支援する「戦略的経済優先雇用制度(Manpower for Strategic Economic Priorities Scheme)」を改定し、2025年5月1日から適用期間を2年から3年に延長する。企業はローカル人材の海外研修プログラムの実施など、新たな条件を満たすことで追加の外国人労働枠を取得できる。
また、Sパス(中技能労働者向けビザ)の最低給与要件は2025年9月1日から引き上げられ、一般業種では3,150Sドルから3,300Sドル、金融業では3,650Sドルから3,800Sドルとなる。40代半ばでは、それぞれ最大4,800Sドルと5,650Sドルまで引き上げられる。
タン・シー・レン人的資源相は、これらの変更は企業の生産性向上とローカル雇用の促進を目的としたものであり、外国人労働者の依存度を減らしつつ、熟練労働力の確保を支援すると述べた。政府は今後も労働許可制度を見直し、経済の競争力強化と労働市場の安定を図る方針である。