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経済

2025年3月17日

ジョホールバルRTSリンクの機会を活かす新タスクフォース設立

 シンガポール政府は、2026年末に開通予定のジョホールバル・シンガポール高速輸送システム(RTS)リンクを活用し、シンガポール国民や企業が利益を享受できるよう支援する新たなタスクフォースを設立した。3月16日、オン・イェクン (Ong Ye Kung) 保健相が発表した。
 
 オン保健相は、ガン・キムヨン副首相兼貿易産業相にタスクフォースの設立を要請し、「RTSの機会を最大限に活かし、影響を受ける人々への対策も講じる」と述べた。特に、RTSリンクのシンガポール側の終点となるウッドランズ・ノース駅がセムバワンGRCに位置することから、このプロジェクトに強い関心を持っているという。
 
 RTSリンクの開通により、シンガポール人がジョホールバルへ買い物に出かける可能性が高まるが、オン保健相は「シンガポールの小売エリアや地域商業施設の活性化に繋がる可能性もある」と指摘。マレーシア人観光客にとっても魅力的な要素を提供することで、経済活性化を図る考えを示した。
 
 一方で、ジョホールバルの競争により影響を受けるシンガポールの小売業者や飲食店も存在する。タスクフォースは、RTSリンクの恩恵を最大限に活用しながら、こうした事業者の影響を最小限に抑える方法を模索する。貿易産業省(MTI)は、タスクフォースが地域の商店や企業と協議を重ね、2026年に報告書をまとめる予定であると発表した。
 
 同タスクフォースは、MTIのほか、国家開発省、労働省、保健省、都市再開発庁(URA)、企業庁(Enterprise Singapore)、住宅開発庁(HDB)、ウッドランズ・ヘルスなどの機関で構成されている。また、セムバワンGRCのマリアム・ジャアファル議員やマーシリング・ユー・ティーGRCのハニー・ソー議員が、シンガポール企業や地域商店と連携し、地域経済の活性化に向けた意見を集約する。
 
 RTSリンクは、ジョホールバルのブキ・チャガル駅とシンガポールのウッドランズ・ノース駅を結び、片道1時間あたり1万人の輸送が可能となる。利便性向上により、経済効果が期待されている。
 
 同日、セムバワンGRCでは「MerchantDollarDeal$@Woodlands(MDD@Woodlands)」が開始され、約1,000人の住民が参加した。本プログラムでは、ウッドランズの住民が1Sドルで生活必需品を購入できるバウチャーを取得可能で、月間5,000以上の1Sドル特価商品が提供される。さらに、飲食店支援プログラム「SG60 BAM(Belanja-A-Meal)@Woodlands」も実施され、50Sドル分の食事バウチャーが配布された。
 
 参加企業の一つ「Mr Bean」は、3月から8月にかけて毎月200~300杯の豆乳を1Sドルで提供する。また、「New Odense(s) Confectionery & Bakery」も同期間に毎月500個のパンと飲料を提供する。
 
 ウッドランズ・ノースプラザで28年間店舗を運営するダニー・コー氏は、「中小企業として住民の支援をしたい」と語った。
 
 タスクフォースは今後も、地域経済の活性化と企業支援のための施策を検討していく。

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