シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOPシンガポールの雇用回復も、第4四半期の解雇増加が課題に

経済

2025年3月20日

シンガポールの雇用回復も、第4四半期の解雇増加が課題に

 シンガポールの労働市場は2024年を通じて拡大し、経済の回復と企業の前向きな姿勢が雇用を押し上げた。しかし、2025年には世界経済の不確実性や貿易摩擦の影響によるリスクが高まる見込みである。
 
 2024年の第4四半期には解雇件数が増加し、求人倍率も前年同期比で低下するなど、労働市場に課題が見られた。シンガポール労働省(MOM)によると、2024年のシンガポール国民および永住者の雇用者数は8,800人増加し、前年の4,600人減少から回復した。
 
 2024年12月時点の失業率は全体で1.9%、居住者で2.8%、国民のみでは2.9%と、低水準を維持した。長期失業率(25週間以上の失業者)は0.8%で、前年から変化はなかった。
 
 雇用増加は主に高スキル分野で見られ、金融・保険(5,300人増)、医療・福祉(5,200人増)、専門サービス(5,000人増)、情報通信(4,200人増)などが伸びた。一方、飲食業(2,100人減)や事務支援サービス(700人減)では雇用が減少した。
 
 2024年の外国人労働者の純増数は3万5,700人で、前年の8万3,500人から減速した。特に労働許可(ワークパーミット)保持者が39,300人増加し、低技能職を中心に雇用が拡大した。一方で、エンプロイメント・パス(EP)およびSパスの保持者数は減少した。これは、2023年9月に導入された補完性評価制度(Compass)や、EP・Sパスの最低給与要件の引き上げによるものとMOMは分析している。
 
 解雇件数は2024年を通じて1万3,020件と、前年(14,590件)より減少した。しかし、2024年第4四半期(10~12月)には解雇が増加し、3,050件(第3四半期)から3,680件に増えた。特に金融・保険業界では、解雇が270件から620件へと急増した。
 
 MOMは、2025年の労働市場について「少なくとも第1四半期は拡大する」との見解を示した。しかし、貿易摩擦の激化や経済成長の鈍化が起こった場合、労働市場の成長が抑制される可能性があると警告している。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOPシンガポールの雇用回復も、第4四半期の解雇増加が課題に