2025年3月27日
シンガポールの2月製造業生産、1.3%減──バイオ医薬と電子部門の不振響く
シンガポールの2月の製造業生産は前年同月比で1.3%減となり、7カ月連続の成長に終止符を打った。特にバイオ医薬品と電子機器分野の縮小が全体の低下を牽引した。1月の生産は8%増、12月も5.9%増だったが、今回は市場予想の7%増を大きく下回った。
経済開発庁(EDB)によると、バイオ医薬品を除いた場合の生産はわずか0.3%増にとどまり、季節調整済みの前月比では全体で7.5%減、同分野を除いても7.9%の減少を記録した。
一方で、精密工学分野は前年同月比で16.2%増と好調で、特にプラスチックや金属部品、半導体装置の生産が伸びた。輸送工学分野も航空機部品や船舶整備需要の増加により16%成長した。
化学分野は0.1%減。香料や石油製品は増加したが、石油化学品や工業用添加剤は減少した。バイオ医薬分野では医療機器の需要は堅調だったものの、医薬品生産の落ち込みにより全体では14.3%の減少となった。
DBS銀行は、米国の関税政策による世界的な保護主義の高まりが、シンガポールの輸出主導型経済にとってリスクとなると指摘。一方でOCBC銀行は、3月には生産が回復に向かう可能性もあるとし、UOB銀行も世界需要の低下による製造業の停滞リスクを示唆している。
現時点ではASEAN諸国が米国の関税対象にはなっていないため、2025年の製造業成長率は前年比2.7%との見通しが維持されている。