2025年4月4日
米国の新関税で世界経済に懸念、シンガポールは最悪回避も成長鈍化の恐れ
米国のトランプ大統領が発表した「すべての輸入品に一律10%の関税」を受け、アジア市場は動揺した。日本や中国、韓国に比べシンガポールは高関税を免れたものの、世界的な貿易停滞が国内経済に及ぼす影響が懸念されている。
シンガポールは自由貿易協定や対米貿易赤字が比較的小さいことから、他国のような報復関税は免れた。一方、メイバンクのチュア氏は「製造業と輸出は今後縮小し、景気見通しが悪化する可能性が高い」と指摘。同行は2025年のGDP成長率2.6%の予測を下方修正する可能性も示唆している。
米国ではさらに、半導体や医薬品に25%の追加関税を検討中であり、これが実現すればシンガポール経済に追加の打撃となる。シンガポール半導体産業協会のアン氏も「世界的な投資計画に混乱をもたらす」と懸念を示した。
金融市場も影響を受け、4月3日午前のストレーツ・タイムズ指数は0.14%下落。ただし、日本の2.62%下落に比べると影響は軽微で、シンガポール株は他国よりも堅調に推移する可能性もあるとアナリストの一部は見る。
通貨市場では、米ドル安の影響でシンガポールドルは0.35%上昇。マレーシアリンギットは24%の報復関税を背景に下落した。
国際商業会議所は今回の関税発表を「国際貿易システムへの衝撃」と表現し、各国企業が即時対応を迫られると警告した。シンガポール金融管理庁(MAS)は市場安定化に向け「必要に応じて措置を講じる」と声明を出している。
今後の展開は各国の対応次第であり、シンガポールは柔軟な貿易戦略と市場の動向把握が求められる。